“おデブ脳”が備わるまで

“おデブ脳”育成前のアタシ

今思えば子供の頃から太っていた。
アタシが生まれて数年後から“おデブ脳”は着々と育っていった。

伝統工芸人の祖父とお嬢様育ちの祖母、エリートサラリーマンの父と専業主婦の母、そして才色兼備の姉の妹として生まれたアタシ。
祖父母、両親の愛情の元、何の不自由なく育った。
正確には何の不自由もなく育ったのは体だけで、今思えば心はそれについていっていなかったように思うのだが…。 アタシは一般的に言う“裕福な家庭”に育った。
食べるもの、着るもの、住む家、持ち物、何の不自由もなかった。 祖父は伝統工芸人で自宅に作業場があった。
お嬢様育ちの祖母と専業主婦の母が受付や事務仕事などを行っていた。
父はエリートサラリーマンでプライドの高い厳格な人だった。
姉は才色兼備で見た目にもアタシと同じ血が流れているとは思えなかった。
そんな家庭で育ったアタシは傍から見れば幸せな一家に生まれた幸せな末っ子だっただろう。 思い返せば“幸せ”を感じていたのは生まれてからほんの数年間だった。
確かに幸せなことは多々あった。
しかし、辛いことを思い出す方が簡単なのは、幸せなことより辛いことのほうが多かったか、辛いことのほうが強烈だったかだろう。 辛いこと…それが“おデブ脳”が育つ恰好の栄養だったことに気づくのは、まだまだ先の話。 幼少期、身も心も何も不自由を感じなかった時代…
“おデブ脳”が備わるまでにはそこから話を進めていかなければならない。 私立の幼稚園に通うところから始めよう…
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